日本人の約4人に1人はいびき症があり、その多くは肥満や鼻づまり、扁桃腺(口蓋扁桃)の肥大などが原因と考えられています。
いびき症と睡眠時無呼吸症候群は似ている症状も多く、診察や睡眠検査を行って原因を明らかにしたうえで、それぞれの病気の改善に合わせた治療に取り組むことが大切です。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(閉塞性無呼吸症)は寝ている間に気道(上気道)がふさがって大きないびき(低呼吸)が出たり、呼吸が完全に止まったりします。症状は日中の眠気や倦怠感、頭重感、夜間の頻尿など様々ですが自覚症状が乏しい場合もあります。重症の睡眠時無呼吸症群の場合、放置しておくと心筋梗塞や脳梗塞の原因になることがありますので早期発見、早期治療が望ましいと考えられます。
当クリニックで行う診察では、詳細な問診の後診察を行います。その際喉頭ファイバーを用いて鼻、喉の様子を観察いたします。睡眠時無呼吸症候群の確定診断には睡眠中の低呼吸や無呼吸の回数(AHI:Apnea Hypopnea Index=無呼吸低呼吸指数)の測定が必要となりますのでポータブルの睡眠簡易検査装置をご自宅にお持ち帰りいただき、睡眠中に装着していただき、AHIや睡眠中の酸素飽和度を測定することで睡眠時無呼吸症候群の重症度を診断致します。
軽症であれば、減量やマウスピースを作成して睡眠中に装着したり、側臥位での睡眠を促すなどの治療を行うのが基本です。重症であればCPAP(持続陽圧呼吸療法)の装着や、終夜睡眠ポリグラフィー(PSG)による精密検査、もしくは手術を検討していきます。
お子様の低身長や低体重、夜間のおもらし、多動などの原因のひとつとして、睡眠時無呼吸症候群が関係していると考えられています。お子様の睡眠時無呼吸症候群は、扁桃腺やアデノイドの肥大によって起こることが多く、寝ている間に気道がふさがれて呼吸困難になる可能性があります。症状をそのままにしていると、成長ホルモンや抗利尿ホルモンが分泌されにくくなり、発育不足や夜尿症を引き起こすリスクが高まってしまうのです。
診察では大人と同様に、喉頭ファイバーを用いた気道の観察や睡眠簡易検査などを行います。また、お子様が寝ているときの様子を動画で記録していただくと、今後の治療を行ううえでよりスムーズな診断が可能です。
診断後は重症度に応じて治療を行います。軽症であれば鼻炎に対する治療が中心になりますが、重症の場合は扁桃腺の摘出やアデノイドの切除といった手術療法が検討されます。手術を行う場合は、対応している施設をすぐにご紹介いたしますのでご安心ください。
睡眠時無呼吸症候群はお子様であっても起こりうる病気です。お子様の寝息にそっと耳を澄ませて、何か気になる症状や不安なことがありましたら、当クリニックまでいつでもご相談ください。